【GIGAスクール】児童生徒のウェブフィルタリングについて
GIGAスクールが始まり2年が経とうとしています。
私はGIGAスクールサポーターとしてICT活用教育の推進に携わっており、日々教育委員会や学校の先生方よりいろいろな相談をいただきます。
その中で本日は「児童生徒の端末のフィルタリング」について取り上げたいと思います。
一人一台端末として、Chromebookなどの端末を児童生徒に配布する際、ほとんどの学校ではあらかじめウェブフィルタリングの設定を入れていると思います。
ALSIのInterSafe、デジタルアーツのi-Filter、チエルのInterCLASS Filtering Serviceなど各社からいろいろなサービスが提供されています。
これらは、児童生徒が学校から配布されたICT端末通じて有害サイトに遭遇しないようにするための必須ツールですが、生徒としては自由にウェブ閲覧できず、もどかしい思いをすることがあります。
特に、端末でYouTubeを見たい!と思っても、フィルタリングサービスにより「動画配信」というカテゴリがブロック対象になっていると、YouTubeのページは開けません。
先生が、授業で動画を児童生徒に見せたい、という場合には、対象の動画に限り、フィルタリングを許可することで見ることができるようになります。
しかし、やはり制限されると逆に「なんとかしてYouTubeを見てやろう!」と考える一部の児童生徒が、フィルタリングをかいくぐる方法をいろいろと調べ、LINEのオープンチャットやゲーム向けチャットツールのDiscord上で情報が交換されています。
一時期、ブックマークレット(ブラウザのブックマークからJavaScriptを実行する方法)を用いてフィルタリングサービスの拡張機能をオフにする方法が流行りました。
この方法は、管理側(主に教育委員会になると思います)で、児童生徒の端末でJavaScriptの実行を許可しないようにすることで、使えなくすることができるため、フィルタリングサービス各社から導入利用者に対して設定方法の案内が出たことで、落ち着いた感があります。
最近は、ウェブプロキシサイトを経由したフィルタリングの回避が流行っています。
ウェブプロキシサイトとは、自分が見たいウェブサイトの表示を、自分の代わりに行ってくれるサイトです。
通常、YouTubeを見たいときは、自分の端末からYouTubeにリクエストを送り、YouTubeからのレスポンスを自分のパソコンで受け取って、ブラウザで表示することになります。
このとき、多くのフィルタリングサービスは「自分の端末からYouTubeにリクエストを送る」ときにYouTubeが表示してもよいサイトかどうか判定して、ブロック対象であれば表示させない(「管理者により制限されています」という案内のページを表示させる)ように動きます。
ウェブプロキシサイトを経由すると、自分からはウェブプロキシサイトに表示したいサイトのURLを送ります。そうするとウェブプロキシサイトは、そのURL(例えばYouTube)に対してウェブプロキシサイトがリクエストを送り、対象のサイト(YouTube)からのレスポンスもウェブプロキシサイトが受け取って、ウェブプロキシサイトが代わりにYouTubeの画面を表示します。このとき、自分の端末ではYouTubeを見るのではなく、あくまでもウェブプロキシサイトを表示しているだけなので、フィルタリングサービスに引っかかることなくYouTubeが閲覧できるようになるわけです。
下の図は、あるウェブプロキシサイトを使ってYouTubeにアクセスしたときの例です。
直接YouTubeを表示する場合に比べ、表示される速度は遅いものの、一見本物と変わりなく表示されます。
これをフィルタリングサービスでブロックするためには、現状このウェブプロキシサイトのURLをブロック対象に加えるしかありません。
しかし、こういったサイトはどんどん現れますし、児童生徒自身でウェブプロキシサイト自体を立ち上げる、という可能性もあり、管理者側でこういったサイトの情報を入手できてブロックしたとしても、いたちごっこになってしまいます。
上に例として挙げたウェブプロキシサイトは、一定間隔で広告が表示されます。当然信用のあるサイトではないため、もしかするとフィッシングサイトに誘導されるかもしれません。
そのため、根本的な対策としては、やはり児童生徒自身に、「こういったことをするとどうなるのか」ということを知って、自分でやっていいことと悪いことを判断できるように教育することが必要だと考えます。
当社では、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシティズンシップ研修も実施しています。
この研修では、インターネット社会で知っておかなくてはならない基礎的なことから、実際にあった事件を元に事例紹介を行い、どうすればよいのかを説明しています。
1回30分~45分で実施していますので、学校関係者の方でご興味がありましたらぜひお問い合わせください。
執筆者紹介
佐藤 大輔 satow@affordance.co.jp
株式会社アフォーダンス
エデュケーションサービス事業本部 エバンジェリスト
主に教育機関向けのGoogle Workspace等のクラウドサービスを活用した授業改善にかかるアドバイスや、情報セキュリティにかかる教育・改善支援を実施。エデュケーションサービス事業のエバンジェリスト(伝道師)として学校のGIGAスクール構想推進や運営支援サービスを行う。学校の先生向けの学校著作権研修、保護者、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシディズンシップ研修なども実施。