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【GIGAスクール】学校における著作権について

2023.3.29

GIGAスクールが始まって2年。
先生も生徒も、ICTを使って学習を行うことが当然ながら増えました。

そうすると気になるのが、ICT・オンラインを通じて著作物を使う場合の著作権の問題です。

最近、以下のニュースがありました。

・(神奈川県川崎市)市立中学校における著作権侵害に伴う賠償について:川崎市ウェブサイトより

・(愛知県今治市)中学教員、イラストを無断で学校HPに 市が作者に27万円賠償へ:朝日新聞デジタルより

いずれも、イラストの画像データを学校のウェブサイトで公開してしまったことによる著作権の侵害案件です。

なぜこういったことが起こるかというと、やはり著作物の扱いに関する意識の不足・欠如が原因になると思います。

著作権というのは人が著作物を創作した時点で、その人が自動的に持つことができる権利です。
その著作物が著作者のオリジナルであれば、他人が勝手に使われたり、複製されたりすることはNGということになります。

企業のウェブサイトなどに掲載する画像は、著作権的に問題なく使用できるか、著作権だけでなく肖像権にも抵触していないか、ということはしっかり確認の上で掲載を行います。

しかし、著作権法第35条によって、学校における学習の過程にあっては、先生と生徒は、著作権の扱いについて優遇されています。
通常はだめなのですが、授業の範囲内では、”先生または生徒が授業で必要な場合は、著作者の許諾なしに、「複製」することができる”と認められているわけです。
ただし、これは紙でコピーして配布することを想定していました。
紙の場合、コスト等の面で配布できる範囲が限られるため、この法運用でしばらくは問題にはならなかったのです。

そのため、上述のニュースにおいては、学習の延長として学校のウェブサイトに著作物を掲載してしまったのかもしれません。

GIGAスクール構想が始まって、授業でICTを使うことが当たり前になると、メールやクラウド上で画像などのデータを一瞬で簡単に多くの人に配信できるため、紙の運用を想定した著作権法では足りなくなってきました。

そこで2018年に著作権法が改正されます。
改正著作権法第35条と呼ばれるものです。

この条文では、「教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信できる」とされています。

これで「オンラインでも気兼ねなく著作権が使えるんだ!」と思ってしまうと、これは間違いで、上記の条文中の「授業の過程における利用」というところがポイントになり、ここを正しく理解しなければ、やはり著作権を侵害してしまうことになります。

これについては次回のコラムで書きたいと思いますが、当社は学校における著作権の扱いについて、先生や児童生徒向けに研修を行っています。現地、オンラインどちらでも対応できますので、気になる方はお問い合わせいただけると幸いです。

*ちなみにこの投稿のイメージは著作権フリーのイラストで有名な「いらすとや」さんからいただきました。しかし「いらすとや」さんのイラストも、完全に自由に使って良い、というわけではありません。このあたりも次回書きたいと思います

執筆者紹介


佐藤 大輔 satow@affordance.co.jp
株式会社アフォーダンス
エデュケーションサービス事業本部 エバンジェリスト
 
主に教育機関向けのGoogle Workspace等のクラウドサービスを活用した授業改善にかかるアドバイスや、情報セキュリティにかかる教育・改善支援を実施。エデュケーションサービス事業のエバンジェリスト(伝道師)として学校のGIGAスクール構想推進や運営支援サービスを行う。学校の先生向けの学校著作権研修、保護者、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシディズンシップ研修なども実施。

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