【GIGAスクール】学習eポータル標準モデルVer.3.00が公開されました。
4月7日に「学習eポータル標準モデル Ver.3.00」が公開されました(ICT CONNECT 21より)。
学習eポータル標準モデルは、昨年公開されたVer2.00までは学習eポータルとMEXCBTの連携仕様を規定したもので、学校現場において教員の方がじっくり読み込むものではなく、主に学習eポータル準拠ソフトウェア開発会社や校務支援システム開発会社向けの内容といったものでした。
今回Ver.3.00になって、技術寄りから、現場寄りの記述になってきたようです(といってもまだ半分以上は技術寄りですが)。
Ver.3.00で教員の方がチェックしておいたほうがよいポイントを確認していきたいと思います。
まず、学習eポータルの目的としては以下のように記載されています。
i. ハブとなる機能
ハブ機能を窓口に様々な学習ツールがつながることで、学習者が負担なく便利に学習ツールにアクセスすることができる。また、データの共通の記録場所を用意することで、複数の学習ツールから得られたデータをまとめて記録できるようになる。
ii. ハブ機能と学習ツールの接続規格の標準化接続
規格をひとつに決めることで全国どこでも同じ規格でつながる世界が実現する。
iii. スタディ・ログの標準化
スタディ・ログを標準化することで、異なる学習ツールのスタディ・ログを掛け合わせて分析することが容易になる。また、全国どこでも自分の学びの記録を活用できるようになる。
「ハブとなる機能」とあるように学習eポータルは、MEXCBTや校務支援システムだけでなくあらゆる教育ソフトウェア、教育コンテンツを仲介する位置づけを目指しているということです。
(学習eポータル標準モデルVer.3.00より抜粋)
この図のように、MEXCBTやその他学習ツールを用いた学習結果、進捗度合いをLRS(Learning Record Store、学習情報保管場所)に保存し、これが将来的にスタディ・ログの元になるということです。
スタディ・ログは、GIGAスクール構想の目的の一つである「個別最適化した学習」の実現に必須の情報です。
スタディ・ログを元に、その児童生徒に適した学習方法・ツールが提供される、というのが将来望まれる姿です。
そのためには、学習の結果・進捗度合いだけでなく校務支援システムの情報とも照らし合わせる必要があるのですが、校務支援システムと学習eポータルが連携する情報としては現在のところ名簿情報までのようです。指導要録などの機密情報は、連携するにはまだまだ難しいということでしょうか。
規格の標準化については、国際規格を基準に取り入れているようです。
ハブという性質上、門戸は幅広くしておかなくてはならないため、これは仕方ないかとは考えますが、経験上標準仕様というものは技術の現場から離れた人が策定している事が多く、いざ活用しようとなったときに、融通が効かず思ったことがまったくできない、ということに陥るパターンが多いかと思います。
このへんはこれからどうなるか、しっかり見ていく必要があります。
次回は、学習eポータルの利用シーン(ユースケース)について確認していきたいと思います。
執筆者紹介
佐藤 大輔 satow@affordance.co.jp
株式会社アフォーダンス
エデュケーションサービス事業本部 エバンジェリスト
主に教育機関向けのGoogle Workspace等のクラウドサービスを活用した授業改善にかかるアドバイスや、情報セキュリティにかかる教育・改善支援を実施。エデュケーションサービス事業のエバンジェリスト(伝道師)として学校のGIGAスクール構想推進や運営支援サービスを行う。学校の先生向けの学校著作権研修、保護者、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシディズンシップ研修なども実施。