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【GIGAスクール】生成AIの使用にかかるガイドラインについて

2023.5.9

日本ディープラーニング協会(JDLA)が、「生成AIの利用ガイドライン」と題した、ChatGPTなどのジェネレーション型AIの利用に関する注意事項などをまとめた文書を発表しました。

JDLAという団体は、ディープラーニング(深層学習)によるAIが実用的になった5、6年前にいち早く結成された団体で、G検定とかE検定というディープラーニングに関係する資格試験を実施しています。
資格の力が薄いIT業界において、知名度がまだまだ低いG検定とかE検定の意義がどこまであるかは個人的には疑問に思ってはいますが、その道の人であれば名前は聞いたことのある検定になってきました。

そのJDLAがジェネレーティブ型AIの使用について方針を出したということでニュースにもなりました

どのような内容になっているかざっくり見てみると、基本的には個人情報漏洩や著作権侵害になるような使い方をしないような注意事項をまとめているものとなっていました。
ちなみに、ジェネレーティブ型AIのことは「生成AI」という呼称で統一した模様です。

GoogleのBardも、これまで個人のGoogleアカウント(@gmail.com)でしか使えませんでしたが、Google Workspaceでも使えるようになると発表されたところですので(この件はまた別に記事にします)、ポイントとなるところを取り上げてみます。

●生成AIは、これからたくさん出てくるため、組織で利用可能な生成AIのサービスをホワイトリスト方式で指定するのが望ましい。

●生成AIの使用における禁止事項ははっきりまとめておく。ここで次のような東京大学の例を取り上げています。「本学では学位やレポートについては、学生本人が作成することを前提としておりますので、生成系AIのみを用いてこれらを作成することはできません。」

●基本的な考えとしては、生成AIに入力するデータは著作物であっても著作権侵害にはあたらない。しかし生成AIによる出力物が、既存の著作物と同一・類似している場合には、著作権侵害にあたる可能性があるので注意しなければなりません。
→根拠としては、著作権法30条の4の「情報解析」非享受利用」に該当すると思われるとのこと。

●生成AIに入力した情報はそのAIの学習に利用されるため、個人情報を入力することはNGとしています。
→この点はとても複雑(可否を考えるパターンが多い)であるため、一律NGとしているとのこと。

●生成AIで出力したデータ(画像、文章など)には著作権は発生するか?ということについては、まず当然既存の著作物と同一・類似している場合はNGですが、「創作」にあたるオリジナルのデータである場合には著作物とみなされる、という見解です。
→たとえば、「犬の画像を見せて」と入力して生成AIから犬の画像を得られたとしても、これは一般的すぎて創作的寄与があったとはみなされず、著作物とは言えないようです。
 何度もチャットでやり取りをしてオリジナルの画像に仕上げていく、長い文章を命令して唯一の画像を得た場合、などの際には著作物として捉えてよいと考えられますが、重複を避けるために個人で手を加えるべき、とされています。

おおむね以上のような内容でした。
著作権がらみのところは私もどう扱うべきか参考になりました。
それほど長い資料ではないので、気になる方は一読されるとよいかと思います。

執筆者紹介


佐藤 大輔 satow@affordance.co.jp
株式会社アフォーダンス
エデュケーションサービス事業本部 エバンジェリスト
 
主に教育機関向けのGoogle Workspace等のクラウドサービスを活用した授業改善にかかるアドバイスや、情報セキュリティにかかる教育・改善支援を実施。エデュケーションサービス事業のエバンジェリスト(伝道師)として学校のGIGAスクール構想推進や運営支援サービスを行う。学校の先生向けの学校著作権研修、保護者、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシディズンシップ研修なども実施。

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