【GIGAスクール】文科省より生成AIのガイドラインが示されました。
7月4日に文科省から、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が示されました。
ICT活用に積極的な学校や教員の方は、ChatGPTやBard、授業で使いたいと思っていらっしゃるかと思います。
東京都などでは、生成AIの利用について指針が示されていましたが、この度文科省からもガイドラインが出ました。
これでようやく、教育委員会から学校へ、文科省がこう言っているので、という形で案内が出せるようになりましたね。
資料的には20ページ強なのでそれほど長くはありませんが、こちらでポイントをお知らせしたいと思います。
事前情報で、教育現場での生成AIの活用は限定的なところから開始、という話がありました。おおむねそのとおりの内容です。
このガイドラインでは、以下のような状況では活用が適当としています。
・情報モラル教育の一環で生成AIを教材として、性質や限界を学ぶこと
・足りない視点を見つける目的で活用すること
・文章をたたき台として生成し、それを自分なりに何度も推敲してより良いものにブラッシュアップすること
逆に、以下の状況では生成AIの利用は適切ではないとしています。
・情報モラルを含む情報活用能力が育成されていない段階で自由に使うこと
・コンクールの作品やレポート、小論文で生成AIの生成物をそのまま使うこと
・創造創作を重要視する場面、詞、俳句、音楽などで安易に使うこと
・教科書など質の担保された教材を用いる前に、安易に使うこと
よく言われることですが、「読書感想文を書いて」といった単純な宿題は、生成AIが瞬間的にやってくれてしまいます。
学校現場だけの話ではありませんが、仮に生成AIが無くても、今の世の中、ネットを検索すればものすごい量の知識が得られます。
知識量だけで言えば、ネットさえあれば誰でも天才なわけです。
重要なのはネット上に無いことにどう対応すればよいか、ということで、このスキルを養わなければなりません。
ネット上を検索しても答えのないこと、生成AIでも適用な答えが得られないことについて、そのヒントを探すのにはこういったツールの活用は進めても良いと考えます。
いずれにしても、児童生徒が生成AIを使う前に、教員のAIリテラシーの向上がまず必要で、児童生徒に、生成AIのリスクに十分な対策がとれるよう教育(情報モラル教育、個人情報保護、著作権保護)でき、情報の真偽を確かめる(ファクトチェック)方法も学んだ上での利用が望ましいということです。
追伸ですが、資料中に生成AI有名所3つの利用規約の違いの表がありましたので引用します。
こう見ると、さすがMicrosoftは日本寄り、というか各国の事情によく対応している、という感じがします。
執筆者紹介
佐藤 大輔 satow@affordance.co.jp
株式会社アフォーダンス
エデュケーションサービス事業本部 エバンジェリスト
主に教育機関向けのGoogle Workspace等のクラウドサービスを活用した授業改善にかかるアドバイスや、情報セキュリティにかかる教育・改善支援を実施。エデュケーションサービス事業のエバンジェリスト(伝道師)として学校のGIGAスクール構想推進や運営支援サービスを行う。学校の先生向けの学校著作権研修、保護者、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシディズンシップ研修なども実施。