生成AIを利用してウイルスを作成したとして初の逮捕者が。 | 教育コラム
先月になりますが、2024年5月末に生成AIを悪用してマルウェアを作成したとして逮捕者が出ました。
「複数の生成AI悪用しウイルス作成 容疑の25歳無職男を逮捕、被害は確認されず」(産経新聞記事、ITmediaニュースより)
作成されたマルウェアは暗号化や暗号資産の要求といった動作を伴うということから、ランサムウェアに類似した機能を持っていたそうです。容疑者も「ランサムウェアによって楽に金を稼ぎたかった」と供述していることから、初めからランサムウェアを作成する目的で複数の生成AIサービスを悪用し、該当のマルウェアを作成したとみられます。
このポイントは、被疑者は元工場作業員でITに関する業務経験がないにも関わらず、ITに精通していなくても生成AIでウイルスが作成できてしまう、というところです。
ChatGPTに代表される正規サービスは不正防止対策が取られているのですが、ダークウェブ上ではWormGPTやEscapeGPTといった倫理規定のない犯罪用の生成AIが開発・公開されています。
今回の被疑者もそういったサービスを利用したようです。
罪状は「不正指令電磁的記録作成容疑」とのことです。
これは、他人のコンピュータに悪さをする目的でウイルスなどのプログラムを作ったらダメ、という法律です。
今回のケースでは、警察は被疑者を偽造身分証を使用してSIMカードの不正契約を行った詐欺容疑(今回の事案とは別件)で逮捕しており、自宅から押収されたPCを解析したところマルウエアが発見されたとのことです。
当社では、児童生徒に情報モラル教育を行う一環で、生成AI利用についてのワークショップを実施しています。こういった研修などを通じて生成AIを正しく利用することについても学ぶ機会を設けることが大切だと考えます。
*本記事のイメージ画像は、Canvaのマジック画像作成機能を使用して作成しました。
執筆者紹介
佐藤 大輔 satow@affordance.co.jp
株式会社アフォーダンス
エデュケーションサービス事業本部 エバンジェリスト
主に教育機関向けのGoogle Workspace等のクラウドサービスを活用した授業改善にかかるアドバイスや、情報セキュリティにかかる教育・改善支援を実施。エデュケーションサービス事業のエバンジェリスト(伝道師)として学校のGIGAスクール構想推進や運営支援サービスを行う。学校の先生向けの学校著作権研修、保護者、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシディズンシップ研修なども実施。