【GIGAスクール】文科省、​生成AIガイドラインの​改訂に​着手。​現場の​問題は​救われるか。

2026年6月30日、文部科学省は「デジタル学習基盤特別委員会」(第10回)を開催し、学校における生成AI活用の現状や教育情報セキュリティポリシーの改訂状況を確認しました。この場で、2024年12月に公表した現行の「生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を、次期学習指導要領の改訂を待たずにVer.2.1へ改訂する方針が示されています。

改訂の背景として文科省が挙げているのは、

①OECDが2026年1月に公表した「Digital Education Outlook 2026」など、AIに頼ることで思考プロセスが省略されてしまう「認知的オフロード」に関する国際的な知見が蓄積してきたこと

②生成AIパイロット校が令和8年度には149自治体・478校まで拡大し、国内の実践事例が積み上がってきたことです。現行のVer.2.0は「参考資料としての原則論にとどまり、具体性に乏しい」という課題が指摘されており、リスクを過度に恐れて活用が広がらない現状も踏まえた見直しが検討されています。

この「具体性の乏しさ」は、まさに現場で日々起きていることとズレを生んでいる部分だと感じます。

たとえば1人1台端末のChromebookに搭載されているGoogleレンズには、数式やドリルの問題をカメラで写すだけで解答を表示してくれる機能があります。実際にGoogleは2025年9月、Chromeブラウザに「宿題お助けボタン」を追加しましたが、「カンニングが容易になる」と教育関係者から懸念の声が上がり、わずか数週間で機能を停止する一幕もありました。同様に、Google検索の「AIモード」で調べ物をした際に表示される要約をそのままレポートや作文に転記してしまうといったケースも、教育現場では既に「あるある」になりつつあります。

こうした具体的な場面ごとの是非は、現行ガイドラインの原則論だけでは判断がつきにくく、最終的に各学校・各教員の裁量に委ねられてしまっているのが実情です。「宿題の答えを写す」ことと「電卓や辞書を使う」こと、あるいは「問題集の巻末解答を見る」ことの違いはどこにあるのか——線引きが難しいからこそ、教員によって指導方針がバラバラになりやすく、児童生徒の側も「なぜダメなのか」を納得しないまま使い続けてしまいがちです。Ver.2.1の改訂では、こうしたツール単位・場面単位の具体的な判断基準まで踏み込んでもらえるのか、続報を注視していきたいと思います。

執筆者紹介

佐藤 大輔

佐藤 大輔 satow@affordance.co.jp

株式会社アフォーダンス

エデュケーションサービス事業本部 エバンジェリスト

主に教育機関向けのGoogle Workspace等のクラウドサービスを活用した授業改善にかかるアドバイスや、情報セキュリティにかかる教育・改善支援を実施。エデュケーションサービス事業のエバンジェリスト(伝道師)として学校のGIGAスクール構想推進や運営支援サービスを行う。学校の先生向けの学校著作権研修、保護者、児童生徒向けの情報モラル・デジタルシディズンシップ研修なども実施。